ME/CFS支援ネットワークのあゆみ
HISTORY
ME/CFS支援ネットワーク(前「CFS(慢性疲労症候群)支援ネットワーク」)は、2014年11月3日に発足しました。
CFS支援ネットワークの前身である「慢性疲労症候群の理解を広める会」からの12年をふりかえると、紆余曲折、さまざまなことがございました。軌道に乗せるのは簡単ではありませんでしたが、社会的な誤解や偏見を少しでも解消し、患者が医療や福祉へつながれる環境の改善に貢献したいという思いから、ここまで継続してまいりました。2014年に青森で始まった5月12日のME/CFS世界啓発デーの啓発ライトアップは、ME/CFS患者がおかれている状況を社会問題として発信する重要なイベントとして各地に広がりました。一人ひとりの力は小さくても、組織として発信すると大きな力になります。これまで受けたメディアの取材は200近くにのぼりました。
また、2019年にはゆらり著・コミックエッセイ『ある日突然、慢性疲労症候群になりました』には当会顧問の倉恒弘彦先生が監修を、私は編集協力として携わらせていただき、世に出せたこと。公的支援の手続きや、ME/CFSの専門ではない医師に診療してもらう時の一助になることを願って、『ME/CFS療養生活の手引き』を2021年に発行できたこと。2023年には『ME/CFS患者の診療や相談支援・制度の利用状況に関する調査報告書』をまとめられたこと。これら3つを全国すべての自治体(難病相談支援センターと保健所)に届けられたことは、大きな喜びです。
1991年より旧厚生省にCFS研究班が発足し、6年間(1991年4月~1997年3月)に渡って病因・病態の解明、治療法の開発に向けた臨床研究が行われましたが、2010年に研究班が解散し、2012年に「慢性疲労症候群の実態調査と客観的診断法の検証と普及」研究班が発足するまでの12年間は厚生労働省のCFS研究は途絶えていました。患者が声をあげるのは大変ですが、声をあげないと問題が可視化されず、研究が途絶えてしまうこともあるのです。
米国医学研究所(IOM、現在は組織変更により全米医学アカデミー)は、2015年に慢性疲労症候群(CFS)の病名を「全身性活動(労作)不耐症(Systemic Exertion Intolerance Disease:SEID)」とするよう提案しました。米国医学研究所は全米の臨床医に対して、SEIDが重篤な全身疾患であることを理解して、診断・治療に取り組むように提言するとともに、今後5年間以内に科学的根拠に基づく診断基準を作成する必要があると勧告しました。しかしSEIDという病名は、10周年を迎えた2024年現在でも世界的に浸透しておらず、日本の研究班でも世界中の多くの医学会誌で多く用いられているME/CFSを採用していることから、CFS支援ネットワークとしましても団体名をME/CFS支援ネットワークに改称し、次の10年を目指して、皆様と力を合わせて邁進してく所存です。次の10年も続けられるよう、今後ともより一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。
CFS(慢性疲労症候群)支援ネットワーク会長 石川真紀